IRカジノ法案

日本のIRに世界のビッグ6が熱視線 一方「特定事業者と行政が潤うだけ」との指摘も

IRカジノ法案

カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る不正で、衆院議員の秋元司容疑者(48)が逮捕されました。秋元容疑者は日本のIR事業参入を目指していた中国企業「500ドットコム」から賄賂を受け取ったとされていますが、そうしたリスクを冒すほど、海外企業から見て日本のIRは魅力があるようです。
日本のIR事業について取材したAERA 2020年1月27日号の記事を紹介します。

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日本のIRに世界のビッグ6が熱視線

IR事業は、安倍政権が成長戦略の一つと位置付け、経済効果7兆円とも言われる。2020年代半ばの開業を目指し、現在までに誘致を正式に表明しているのは、大阪府と大阪市、横浜市、和歌山県、長崎県の4カ所。東京都と名古屋市も検討中だ。

IR疑惑で揺れる中、計画は着々と進む。今月7日には内閣府がカジノ事業者の免許審査や監督などを行う「カジノ管理委員会」を設置。誘致を目指す自治体は、委員会の基本方針に沿って実施方針を策定し、その後IR事業者を選定する。事業者が決まったら区域整備計画を国に申請し、国は審査の上、最大3カ所のIR区域を認定する。

IR施設はカジノだけではない。国際展示場、ショッピングモール、エンターテインメント施設、ホテルなどを含み、カジノエリアは延べ床面積の3%以下と決められている。

参入に向けて名乗りを上げている事業者は、ラスベガス・サンズ(米国)メルコリゾーツ&エンターテインメント(香港)など、世界のビッグ6と呼ばれるカジノオペレーターが中心だ。日本企業からも、セガサミーが横浜市へコンセプト提案書を提出した。同社は韓国のIR「パラダイスシティ」を現地企業と共同で運営する。日本では「都市型IRの開発に取り組む」(同社広報部)と意気込む。

有力なのはカジノ運営の経験値と資本力に長けた大手外資だが、単独ではハードルが高い。

「事業者にはカジノ運営だけでなく、日本の魅力発信施設や広域観光の送客機能施設の設置も求められています。地域開発などを手掛ける国内企業と組んでIR開発を進めることになるでしょう」(「カジノIRジャパン」編集長の小池隆由さん)

すでに大阪では、米・MGMリゾーツ・インターナショナルがオリックスとパートナーシップを結んだ。横浜市にコンセプト提案をしたラスベガス・サンズは、「横浜のIRに1兆円規模の投資を予定し、複数の日本企業と話をしている」と言う。

巨額の資金が絡むIR参入レースに多数の企業が食指を動かす。さらなる汚職の心配はないのか。ウィン・リゾーツ(米国)の開発を手掛けるウィン・デベロップメントは、「わが社ではコンプライアンスを最重視し、非常に厳格な規制、法律を順守するだけではなく、最も高い水準のビジネス倫理基準をクリアしている」(クリス・ゴードン社長)とコメント。厳格なルール順守をアピールする。

米国には国外の公務員への贈賄を禁じる法律があり、違反すればカジノライセンスの剥奪もあり得る。だが、それでも不正はゼロにならない。ラスベガス・サンズは13年、中国とマカオで雇ったコンサルタントに68億円以上(6200万ドル)を不正に払ったとして米国証券取引委員会から告発され、10億円近い罰金を支払った。

とくにアジア諸国では米国と比べて法律が緩いとされ、中小事業者はコンプライアンス面での縛りも弱くなりがちだ。

「500ドットコムの事例はまさにそうでした。汚職を防ぐためにはルールを設けることが必要です。大阪では職員とカジノ系の事業者が一対一で会ってはいけない決まりがある。しかし、国側には明確な基準がない。それが今回の問題が起きた要因の一つでした」(国際カジノ研究所長の木曽崇さん)

IR推進法の付帯決議には、「世界最高水準の厳格なカジノ営業規制を作ること」が明記されている。だが、カジノ管理委員会が発足したばかりでまだ規制のない日本は、悪質業者の付け入る隙があるのかもしれない。

事業者の関心が高まる日本のIR開発だが、住民からは真逆の反応も起きている。

横浜市の林文子市長はIR誘致について、少子化でこれから税収が減る中、「増収効果で市民の安全な暮らしを支えることができる」と意欲を示す。だが、地元紙の調査では6割以上の市民が誘致に反対。伊藤毅さん(68)はこう憤る。

「カジノが始まれば、市の治安が悪化する恐れがある。市長は、IRは白紙と言いながら選挙に当選したのだから、市民からの信任を改めて問うべきだ」

神奈川県保険医協会の医療情報部で副部長を務める医師の藤田倫成さんは、ギャンブル依存症への警鐘を鳴らす。

「ギャンブル依存症治療は難しく、医療機関もごくわずかしかない。最大の予防はギャンブルの機会を増やさないことなのに、カジノを作ってしまえば逆に患者を増やしてしまう」

市長のリコール運動も始まった。横浜市民で憲法学者の小林節さんは賛同の立場だ。

「カジノはそもそも博打。生産性もなく、人の射幸心を利用して儲けたもので財政を潤そうなんて政策的に筋が通らない。経済の牽引車になれるはずもなく、特定事業者と行政が潤うだけだ」

この記事を書いた人
みんカジ編集部

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