大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)に、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が約5,500億円をプロジェクトファイナンスで融資する方針とされることに対して、環境NGOの6団体が両金融グループが署名する『国連責任銀行原則(PRB)』に反するとして、融資からの撤退を求めています。
6団体は、金融庁に対しても融資反対を指導するよう2万人の署名を提出しました。
MUFGとSMBCにカジノ融資撤退を求める活動を展開しているのは、NPOのAMネット、「夢洲の都市計画変更を考える市民懇談会」、「ウータン・森と生活を考える会」等の6団体です。
抗議対象となっているのは、大阪府と大阪市が、同市夢洲地区で進めるIR・カジノ建設計画です。
大阪IR・カジノ計画は、すでに公募事業者としてMGM・オリックス コンソーシアム「日本MGMリゾーツ」が選定されていますが、NGOの6団体は、大阪IRの売上見通しが「非現実的な(多過ぎる)売上予測」と指摘しており、このような問題山積みのIR事業計画に、さらに多額の融資を予定しているとされるMUFGとSMBCの行動は、両グループが署名している国連の「銀行責任原則(PRB)」に反するとしています。
PRBは「SDGsとパリ協定が示すニーズや目標と自社との経営戦略との整合性をとること」を原則に据えており、銀行業務をSDGsとパリ協定が定める社会的ゴールに整合するよう変えていくことを目標としています。
さらには、「現世代および将来世代のための共通の繁栄を創り出すために顧客やクライアントと責任を共有する」等もうたっており、カジノ事業へのファイナンスが社会目標に適合した銀行の責任と合致するかどうかといった金融機関のビジネス戦略の設定を求めています。
大阪のIRリゾート誘致について
大阪府と大阪市の計画では、大阪湾の人工島「夢洲」への誘致を目指していて、開業の時期は2029年の秋から冬ごろとしています。
夢洲のポテンシャルを最大限に活かし、大阪・関西の持続的な経済成長に繋げるため、立地実現に向けて取り組んでいます。
大阪IRにおける有力事業者について
大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを含んだ統合型リゾート(IR)の運営事業者には、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループを正式に選定したと発表されています。
初期投資額に約1兆800億円を予定しており、カジノ施設、ホテルに加えて、展示面積が2万平方メートルの展示場と国際会議場の建設も提案しています。